口の中を滑らかにしたり、飲み込む力を強くするには口腔体操が効果的です。
口腔体操と言えば『パタカラ』体操。
更新して口腔体操のアレンジが7種類になりました!
とても効果的な体操なのですが、毎日同じことを繰り返しているとマンネリ化してしまいます。
この記事の後半では、マンネリ化予防のパタカラ口腔体操を紹介します。
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この記事の目次
- 1 高齢になると口の中はどうなるの?
- 2 なぜ『パタカラ』と発声するの?
- 3 ①「パ」を発声することで得られる効果と正しいやり方
- 4 ②「タ」を発声することで得られる効果と正しいやり方
- 5 ③「カ」を発声することで得られる効果と正しいやり方
- 6 ④「ラ」を発声することで得られる効果と正しいやり方
- 7 基本のパタカラ口腔体操①パタカラ10回連続発声
- 8 パタカラ口腔体操にアレンジを加えてマンネリ化の防止
- 9 パタカラ口腔体操アレンジ① 手拍子パタカラ口腔体操Vol,1
- 10 パタカラ口腔体操② 手拍子パタカラ口腔体操Vol,2
- 11 パタカラ口腔体操③ 「ドレミファソラシド」に合わせてパタカラ口腔体操
- 12 パタカラ口腔体操④ 歌に合わせてパタカラ口腔体操
- 13 口腔体操⑤ 飲み込みの『評価』にも使える口腔体操
- 14 まとめ
高齢になると口の中はどうなるの?
飲み込むときに不安を感じていませんか?
「食べ物がうまく呑み込めない」
「飲み物を飲んだ時にむせる」
「口の中が乾燥してモソモソする」
高齢になるにつれて、口の中の唾液の量が減り、喉元や口の中の筋力が落ちてきます。
唾液の量が減ると・・・
消化が悪くなり、口の中が乾燥し食べ物を口の奥へ運ぶことが難しくなります。
口の中の筋力が落ちると・・・
咀嚼の回数が減ったり、うまく咀嚼できなくなるので、食べ物を細かくすることが出来にくくなります。
喉元の筋力が落ちると・・・
飲み込むときに喉に物が詰まったり、誤って気管に入ってしまう状態、誤嚥(ごえん)を引き起こします。
いつまでも楽しくおいしく安全に食事をするには・・・
口の体操『口腔(こうくう)体操』を実施し咀嚼や嚥下の機能を維持・回復することが重要です。
口腔体操はあるキーワードを発声することがポイントです。
そのキーワードが
『パタカラ』
パタカラを取り入れた「パタカラ口腔体操」を食事の前に実施していきましょう。
なぜ『パタカラ』と発声するの?
どんな体操もそうですが、「なぜそれが効果的なのか」目的を理解しながら体操をしないと意味がありません。
このように『ただ何となく体操すること』ほど意味のないものはありません。
まずは「パ」「タ」「カ」「ラ」それぞれを発声することで、どんな効果が得られるのか確認していきましょう。
①「パ」を発声することで得られる効果と正しいやり方
「パ」は、上唇と下唇をしっかり閉じてから破裂させるように発声することがポイントです。
口を閉じる筋肉が鍛えられることで、口の中の食べ物をこぼさないようにすることができます。
②「タ」を発声することで得られる効果と正しいやり方
「タ」の音は、舌を上あごにくっつけてすばやく発声しましょう。
「タ」を発音することで舌で食べものを押しつぶしたり、喉の奥に運んだりする動きを鍛えることができます。
飲み込む動作を助けます。
③「カ」を発声することで得られる効果と正しいやり方
「カ」の音は喉の奥を意識して発声します。
「カ」の音を発声することで喉の奥が閉じたり開いたりするので飲み込むときに必要な動きを鍛えることができます。
食べ物を誤って飲み込む『誤嚥』の予防にも繋がります。
人は喉に食べ物が詰まると、咳を出して詰まりを解消しますが、「カ」を発音することで咳を出す動きを鍛えることができます。
④「ラ」を発声することで得られる効果と正しいやり方
「ラ」の音は、舌を丸めることを意識して発声しましょう。
「ラ」の音を発声することで舌の動きが良くなるので、食べ物を喉の奥に運ぶ動きを鍛えることができます。
飲み込む動きを助ける動きになります。
基本のパタカラ口腔体操①パタカラ10回連続発声
以上のように「パ」「タ」「カ」「ラ」にはそれぞれ意味があることが分かったと思います。
意味を理解したうえで体操していきます。
パタカラ口腔体操は「ただ発声するだけ」で十分効果があります。
まず最初はパタカラを連続して発声していきます。
↑のように「パ」「タ」「カ」「ラ」をそれぞれ10回ずつ発声していきます。
「大きな声」で「1音1音正確」に発声することがポイントです。
1音ずつの発声が終わったら・・・
↑のように「パタカラ」を1つの言葉として10回発声します。
先ほどと同じように「大きな声」で「1音1音正確」に発声することがポイントです
動画でパタカラ10回連続発声を学ぶ↓
パタカラ口腔体操にアレンジを加えてマンネリ化の防止
パタカラ口腔体操は「大きな声」で「1音1音正確」に発声するだけでも効果があります。
でも、毎日繰り返しているとマンネリ化してしまいますよね。
マンネリ化することの危険性
やる気がなくなる
↓
やる気がなくなると体操の効果が下がる
何となくの体操になる
↓
何となくの体操は効果が下がる
このように、マンネリ化は体操の効果を下げてしまいます。
マンネリ化を予防していくために、パタカラ口腔体操にアレンジを加えていきましょう!
パタカラ口腔体操アレンジ① 手拍子パタカラ口腔体操Vol,1
パタカラ口腔体操アレンジ①は
手拍子パタカラ口腔体操Vol,1です。
方法
やり方は簡単!
「パ」「タ」「カ」「ラ」
の発声の間に手拍子を入れるだけです。
といったかんじ。
効果
この体操のポイントは2つのことを同時に行う『マルチタスクの運動』になっていること。
手拍子をどこで入れるのか頭で考えるので、考えながらのパタカラ口腔体操になります。
マルチタスクの運動は転倒予防と認知症予防に繋がりますので、口腔体操+転倒予防+認知症予防のとってもお得な体操になります!
パタカラ口腔体操② 手拍子パタカラ口腔体操Vol,2
パタカラ口腔体操アレンジ②は、
手拍子パタカラ体操Vol,2です。
上記で紹介した体操の別バージョンです。
方法
この体操も「パ」「タ」「カ」「ラ」の発声の間に手拍子を入れるのですが、
「パ」「タ」「カ」「ラ」に合わせて手拍子の数を変えていきます。
「パ」の後は手拍子1回
「タ」の後は手拍子2回
「カ」の後は手拍子3回
「ラ」の後は手拍子4回
といったかんじ。
効果
この体操のポイントも2つのことを同時に行う『マルチタスクの運動』になっていること。
手拍子の数が変わるので、Vol,1の体操よりも、さらに考えながらのパタカラ口腔体操になります。
マルチタスクの運動は転倒予防と認知症予防に繋がりますので、口腔体操+転倒予防+認知症予防のとってもお得な体操になります!
手拍子パタカラ口腔体操Vol,1 Vol,2を動画で学ぶ↓
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パタカラ口腔体操③ 「ドレミファソラシド」に合わせてパタカラ口腔体操
パタカラ口腔体操アレンジ③は、
音階「ドレミファソラシド」に合わせてパタカラ体操です。
方法
音階(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド)に合わせて「パ」「タ」「カ」「ラ」を発声していきます。
ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ドも同じように音階に当てはめてパタカラを発声していきましょう。
といったかんじ。
効果
この体操のポイントは、音階で発声することで口の中の様々な場所を刺激できることです。
口の中の使っていない場所も刺激することができるので、口の中がさらに滑らかになります。
また、音階の発声は喉の開閉にも繋がりますので、スムーズな飲み込みの動きを助け「むせ」の予防にもなります。
さらに、音階を考えながら発声するので、2つのことを同時に行う『マルチタスクの運動』になっています。
マルチタスクの運動は転倒予防と認知症予防に繋がりますので、口腔体操+転倒予防+認知症予防のとってもお得な体操になります!
「ドレミファソラシド」に合わせてパタカラ口腔体操を動画で学ぶ↓
パタカラ口腔体操④ 歌に合わせてパタカラ口腔体操
パタカラ口腔体操アレンジ④は、
歌に合わせてパタカラ体操です。
方法
歌の歌詞を「パ」「タ」「カ」「ラ」に変えて発声していきます。
例えば、童謡『ふるさと』の場合
といったかんじ。
できればホワイトボードなどに、歌の歌詞を書くと分かりやすくなります。
歌の種類は、童謡から演歌など、参加者の皆さんの知っている曲なら何でも構いません。
効果
この体操のポイントは、『パタカラ口腔体操③「ドレミファソラシド」に合わせてパタカラ口腔体操』と同じように、歌に合わせて発声することで口の中の様々な場所を刺激できることです。
口の中がさらに滑らかになり、喉の開閉にも繋がりますので、スムーズな飲み込みの動きを助け「むせ」の予防にもなります。
懐かしの童謡などは昔のことを思い出しますので回想法になり、脳の活性化に繋がります。
歌の歌詞を考えながら、2つのことを同時に行う『マルチタスクの運動』になっています。
マルチタスクの運動は転倒予防と認知症予防に繋がりますので、口腔体操+転倒予防+認知症予防のとってもお得な体操になります!
歌に合わせてパタカラ口腔体操を動画で学ぶ↓
口腔体操⑤ 飲み込みの『評価』にも使える口腔体操
レクリエ―ションの講師をしていると
新しい体操がない。どんな体操をすればいいのかわからない。
といった悩みもよく聞きます。
新しい体操を考えることは大変ですが、視点を変えると体操のネタはいくらでも出てきます!
実際の医療・介護の現場で使われている評価法の動きを取り入れてみましょう。
実際に使わてている評価法は動きが確立されています。
「その動きをすれば理にかなっているんだよ」とお墨付きがすでについています。
評価法の動きを取り入れるだけで、体操にもなるし同時に今の身体の状態を把握する評価にもなる!
一石二鳥の体操になります。
反復唾液嚥下テスト(RSST)を応用した嚥下体操
誤嚥や嚥下障害に対する評価法の中に反復唾液嚥下テストというものがあります。
●反復唾液嚥下テストの方法
唾液嚥下を30秒間繰り返してもらう。
「できるだけ何回も飲み込んでください」と指示。
のど仏のあたりに指をあてて嚥下の有無を確認する。
●評価
30秒間に2回以下の場合、嚥下開始困難、誤嚥が疑われる
3回以上の場合は、ほぼ問題なし
●体操の方法
この反復唾液嚥下テストをリハビリ体操に応用します!
①「喉に手を当てて見てください。今日は唾を飲み込むときの、喉の動きを感じてもらいます。」
30秒計測しながら
「唾を出来るだけ何回も飲み込んでください」
「唾を飲み込んだ数を自分で数えてくださいね」と声かけ
②「2回以下だった方?」と声かけし、手が挙がった人がいれば、改めて個別でテストを行う。
●POINT
『喉の動きを確認すること』『飲み込んだ数を確認すること』を自分でしてもらうことが大切です。意識して喉の動きを確認してもらうことで、飲み込みに対しての関心を高め、誤嚥の予防につなげていく。
たったこれだけです。「30秒時間を計りながら、唾を飲み込んだ数を数える」新しい体操を考えるのは大変です。
でも臨床現場で使われている評価法の動きを1つ入れるだけで体操+評価にもなります。
口腔体操⑥ じゅげむじゅげむで早口言葉口腔体操!
高齢者が大好きな落語に注目してみました!
落語のネタ「じゅげむ」のフレーズで早口言葉を実践してみましょう。
早口言葉は口や喉の体操になり、ストレッチ効果もありますので、口腔体操に応用することができます。
落語のじゅげむはこんな感じ・・・
待望の男の子が生まれた夫婦が、めでたい名前を付けてもらうために相談に行く。
そこでもらった名前の候補をすべて子供につけてしまい、長すぎる名前のせいで色々トラブルが起こる。といったお話。
その名前がコチラ↓↓
じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ
かいじゃりすいぎょの すいぎょうまつ
うんらいまつ ふうらいまつ
くうねるところに すむところ
やぶらこうじの ぶらこうじ
パイポパイポ
パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
ちょうきゅうめいのちょうすけ
この名前は、早口言葉としても楽しめます。
高齢者ウケもいいはず!
ぜひみんなで挑戦してみましょう!
じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれかいじゃりすいぎょの すいぎょうまつうんらいまつ ふうらいまつくうねるところに すむところやぶらこうじの ぶらこうじパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーのちょうきゅうめいのちょうすけ
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まとめ
①高齢になるにつれて、口の中の唾液の量が減り、喉元や口の中の筋力が落ちる。
唾液の量が減ると・・・
消化が悪くなり、口の中が乾燥し食べ物を口の奥へ運ぶことが難しくなる。
口の中の筋力が落ちると・・・
咀嚼の回数が減ったり、うまく咀嚼できなくなるので、食べ物を細かくすることが出来にくくなる。喉元の筋力が落ちると・・・
飲み込むときに喉に物が詰まったり、誤って気管に入ってしまう状態、誤嚥(ごえん)を引き起こす。
②パタカラ口腔体操は、目的を理解しながら体操をしないと意味がない。
③パタカラ口腔体操は「大きな声」で「1音1音正確」に発声することがポイント。
④マンネリ化を予防する
マンネリ化するとやる気がなくなり体操の効果が下がる。
⑤パタカラ口腔体操アレンジの効果
●2つのことを同時に行う『マルチタスクの運動』になっている
●様々な発声することで口の中の使っていない場所も刺激することができ、喉の開閉にも繋がるのでスムーズな飲み込みの動きを助け「むせ」の予防につながる
●マルチタスクの運動は転倒予防と認知症予防に繋がるので、口腔体操+転倒予防+認知症予防のとってもお得な体操になる