人は快をもたらす刺激(楽しい・嬉しい・心地いい・安心)に向かって行動し、不快をもたらす刺激(嫌気・不安・危険)からは避けるように行動するといわれています。
キーワードは快刺激。
快刺激が『動機づけ』になり人は動き出すのです。
心が動けば体が動く『快刺激を生み出そう』
デイサービスなどの介護施設でも、
高齢者の快刺激はどこにあるだろう?
快刺激を生み出すにはどうすればいいだろう?
と、考えながらレクリエーションやリハビリを実施していきましょう。
たとえば、
普段なかなかレクに参加してくれない男性ご利用者の快刺激生み出してみましょう。
Aさん(男性)は普通の棒体操にはなかなか参加してくれませんでした。
そんな子供みたいなことしたくない
そこで、Aさんが大好きな阪神タイガースカラー、黒と黄色のテープで棒をデコレーション。
さらに、阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」をBGMで流し、「六甲おろしに合わせて棒体操をしませんか?」と提案しました。
いつもの体操に、Aさんの好きなものをプラスすることで「楽しい」「嬉しい」という快刺激が生み出され、今では毎回棒体操に参加してくれています。
快刺激は、生きてきた「歴史」や「人となり」の中にある
「快刺激」はどこにあるのか。
それは、その人の生きてきた「歴史」や「人となり」の中に存在します。
きっと、昔甲子園球場に行った時のワクワクした思い出や、TVの前で家族と阪神タイガースを応援していた出来事がAさんを動かしたのです。
快刺激から、ご利用者の夢や目標を生み出していくことも可能です。
ご利用者の個人個人を詳しく知り、隠された「強み」を見つけてレクリエーションやリハビリに活かしていくことが重要です。
歩くやる気を生み出すシルバーカー
歩行が不安定なUさんに、シルバーカー(手押し車)の使用をおススメしました。
でも、「いかにも年寄りって感じがして恥ずかしい」という理由で、シルバーカーを使うことをUさんは拒否します。
そこで、Uさんの快刺激を生み出す工夫をしてみます。
Uさんは「石田のことが大好き」と言ってくれていたので、シルバーカーの名札入れに私との2ショット写真を入れてみました。
すると
「先生と一緒の写真なら私はこれを宝物にしますわ~」
と言ってシルバーカーを使うようになってくれたのです。
そう!
僕の『男前』という快刺激を利用したのです・・・・・。
普通のシルバーカーでは動いてくれなかったのが、お気に入りの写真があるだけで宝物に変身。
世界で一つだけの「歩くやる気を生み出すシルバーカー」の誕生です。
その人の『快刺激』はどこにあるのか。
そしてその『快刺激』をどんな風に応用すれば高齢者は動いてくれるのか。
ちょっとした工夫が高齢者の性格を劇的に変化させるかも。