中高年・高齢者の皆さんに笑顔になってもらいたいですよね。
当ブログ『FUNSEED(ファンシード)』では、リハビリやレクリエーションのコツ。介護・医療業界で働く人を応援する情報を発信しています。
笑顔を生み出すコツをお伝えします!
人は「笑うこと」「楽しいこと」「うれしいこと」など、快の刺激がないと、自ら行動を起こさないものです。
当たり前ですが、わざわざしんどいことや、危険なこと、苦しいと感じることを好んでやりたがらないものです。
介護・医療の現場で、「しんどいこと」といえば
・やりたくもない運動をしたり・・・
・意味も分からずレクリエーションに参加させられたり・・・
・痛いのを我慢してリハビリをしたり・・・
といったことでしょうか。
負のサイクルが高齢者の心身機能を低下させていく
年を重ねて体の機能が衰えると、喜怒哀楽のメリハリがなくなり、リハビリやレクリエーションをする意義がわからないと、動くことに気力を失った人も多くなります。
何もやることもなくボーっとしているだけ。
寝転びながらずっとTVを見ているだけ。
「何もしていない」高齢者がとても多いのが現状です。
外に出ることが少なくなれば、身体が衰える。
↓
身体が衰えると運動をする意欲がなくっていく。
↓
運動をしなくなると出来ないことが増えていく。
↓
今まで出来ていたことが出来なくなると「健康な人には会いたくない」「なぜ私だけ」と、精神的にも落ち込んでいき、さらに家に閉じこもるようになる。
↓
刺激のない時間が増えると脳も衰えていき認知症のリスクが高まる。
↓
さらに運動する気力がなくなる。
このような「負のサイクル」が高齢者の心身機能を低下させていきます。
どうしたら「もっと動きたい」と思うのか
感情の起伏もなく毎日を過ごしている人たちに、どうしたら「もっとやってみたい」「新しいことに挑戦したい」「また参加したい」に繋げることができるのか。
「笑い」で、まず感情を動かしてあげましょう。
全国でレクを実施してきましたが、「こんなに笑ったの何年ぶりかしら・・・」と、自分で大笑いしたことに驚く人もいます。
笑ってもらうことで、眠っていた感情が揺さぶられて目覚めるような感じです。
感情が揺さぶられると、「もっとやってみたい」「新しいことに挑戦したい」「また参加したい」に繋がり、体を動かすきっかけになります。
「冗談や面白おかしいことを言って笑わすこと」だけが笑い・笑顔の生み出し方ではありません。特に医療・介護現場では、そればかりが求められているわけではないでしょう。
それは前提として、この記事では、あえてお笑い芸人の視点から、中高年・高齢者の笑いのツボについて解説・冗談や面白おかしいことで、笑顔を生み出す方法を紹介します。
施設でのレクリエーションや、家庭でのコミュニケーションにお役立てください。
年代別「笑いのツボ」を考える
「笑いのツボ」とは、その人が「面白いと感じるところ」と言い換えることができます。
僕は、様々な年代の人の前でしゃべる機会を頂いていますが、
「笑いのツボ」は、人の発達段階で全く違います!
全く違います!
今流行りの芸人さんのネタが、子供たちにはウケても、中高年の皆さんには理解できなかったり。
落語が中高年の皆さんにはウケても、若者には今一つの反応だったり。
なんとなく想像できますよね。
子供の笑いのツボ
乳児期(0~3歳)幼児期(3歳~6歳)児童期(6歳~12歳)の笑いのツボは、おもちゃ箱をひっくり返したようなにぎやかなものや、動きのあるもの、単純で分かりやすいもの、ワンフレーズや一発ギャグが印象的なものが好まれます。
芸人さんの一発ギャグが、子供たちの間で流行るのはそのためです。
「にゃんこスター」や「アキラ100%」の動き
「安心してください 履いてますよ」
「あったかいんだから~」
「ラッスンゴレライ」
「ダンソンフィーザキー」
「35億」
あなたも↑こんなフレーズ、街を歩いていると聞こえてきませんでしたか。笑
子供向けの紙芝居は分かりやすく笑いを散りばめる
若者(あいまいな表現ですが)の笑いのツボ
青年期(12歳~22歳)成年期(22歳~40歳)の笑いのツボ。
これがとても複雑・・・超複雑。
感性が豊かで、多感であるため、人それぞれ独自の笑いのツボがあり、何が笑いのツボになるのかわかりません。
先ほど「子供の笑いのツボ」で紹介したようなネタが好きな人もいれば、シュールな笑いが好きな人もいるし、渋い漫才や落語が好きな人もいる。
だからこそ人気芸人になるのは難しい。
お笑い芸人は多種多様になり、いろんなネタを劇場で試し、何が笑いのツボになるのか探っていきます。
たくさん散らばっている「笑いのツボを探す作業」が芸人の仕事とも言えるかもしれません。
逆に言えば、たとえ万人にはウケなくても、一部のコアなファンの笑いのツボを見つけてしまえば、人気芸人になれる可能性はでてきます。
ちなみに、僕がよしもとの芸人養成所大阪NSCに入学したのは2007年。NSC30期生になります。
NSCは1年間。春に551人入学し、夏に半分になり、卒業時には3分の1ぐらいになっていました。551人の中で、全国区のテレビ番組に出られるのは2.3組だと言われています。
同期の代表は、尼神インター、バンビーノ、プリマ旦那、アイロンヘッドなど。
彼らは、自分たちの笑いが誰の笑いのツボになるのか、研究と経験を重ね努力し、コアなファンをつくってきたはずです。(現在進行形)
中高年・高齢者の笑いのツボ
中年期(40歳~65歳)老年期(65歳~100歳)の笑いのツボ。
やっときました!この記事のメインの内容です。
若者の笑いのツボが、人それぞれたくさんありバラバラだったのが、中高年・高齢者はまとまってきます。
お笑いの種類に「あるあるネタ」というのがあります。
みんなが「それってあるある~」と感じられ、思わず笑ってしまう共感の笑いです。
歳を重ねると、この「あるある」の部分が被ってきます。
人は不死身ではないので、必ず歳をとり、出来ないことが増えてくるので、“容姿や体の衰え”に関することが、誰もが共感する「あるあるネタ」が当てはまりやすいのです。
若者の場合、容姿などは個人的なコンプレックスになってしまいますが、中高年・高齢者になると、あちこちが痛い、記憶があいまい、動きが鈍い、入れ歯、顔のしわなど、すべてみんなの共通なのです。
中高年・高齢者の笑いは、歳を重ねるにつれて現れる「容姿や肉体の衰え」や人生への悲観をユーモラスに表現したものが人気です。
勘違いしてはいけません。
ただ「容姿や肉体の衰え」をイジっても笑いは起きません。
ユーモラスに表現するテクニックが必要です。
綾小路きみまろから「笑いのツボ」を学ぶ
たとえば、中高年・高齢者に大人気。ライバルはいないとも言えるぐらい活躍中の綾小路きみまろさん。 彼のネタも「容姿や肉体の衰え」をユーモラスに表現しています。
●散歩して徘徊と間違えられ、独り言でボケと間違えられ
●ようこそおいで下さいました。目を閉じたくなるような美しい方ばかりです。
まだまだ老け込むには、早すぎます。でも、連れ込むには、遅すぎます。
●毎日お陰様で超多忙です。明日も朝9時から撮影が入っております。・・・レントゲンの。
いや~おもしろい!
フレーズ一つひとつに細かいテクニックがあるんですが、解説すると大変なので省略します。
シルバー川柳から「笑いのツボ」を学ぶ
もう一つ、歳を重ねるにつれて現れる「容姿や肉体の衰え」や人生への悲観をユーモラスに表現して人気なのが、シルバー川柳でしょう。
シルバー川柳とは・・・
2001年に社団法人全国有料老人ホーム協会の設立20周年を記念してスタート。
高齢社会、高齢者の日々の生活等をテーマとして募集している。
出典(社団法人全国有料老人ホーム協会)
たとえばこんな作品・・・
●恋かなと 思っていたら 不整脈
●年上が タイプだけれど もういない
●LED 使い切るまで 無い寿命
やはり面白い!
自らの老いと向き合い、不安やストレスを感じながらも、ただ嘆くのではなくそれを笑いに変える懐の深さが感じられるのが高齢者の笑いの特徴だといえるでしょう。
レクリエーションや体操に笑いを取り入れてみよう
シルバー川柳を使ったレクリエーション
シルバー川柳の一部を空欄にして、その中身を想像して答えてもらうレクリエーションです。
シルバー川柳自体面白いのですが、作品を見て楽しむだけではなく、自分たちの経験と照らし合わせて考えてもらえるので、爆笑が生まれます。
物凄く好評なレクリエーションです。
※この記事の最後に石田セレクションのオモシロ川柳が載っていますので参考にしてください。
体操の中にちょっとした冗談を入れてみる
ただ体操するのではなく、ちょっとしたユーモアを入れてみましょう。
ユーモアがスパイスとなり、笑いに繋がります。笑いの刺激は「またやりたい」にもつながります。
声を出す体操の時に・・・
「今から声を出してもらうので、口を大きく開けてもらいます。
指3本入るくらい口を開けて。でも4本入れると入れ歯取れちゃいますからねー」
これもウケます(笑)。
「失敗することが楽しい体操」を取り入れる
失敗してもいいのです。みんなが失敗するからことそれが共感となり、笑いに繋がります。
たとえばこんな体操!
手拍子運動
手拍子だけでも笑いは生み出せます。
僕たちスタッフまで面白いように失敗してしまうので、フロア中に笑顔が広がるのです。
3の倍数だけ手拍子運動
足踏みしながら30まで数えていきます。3の倍数のときだけ手拍子してみましょう。
老いることは哀しくもあり、でも「みんなも同じだよね」と思えることがうれしく、思わず笑ってしまうのです。
石田竜生 監修
「レクの準備が大変・・・」「同じ塗り絵を使いまわしている・・・」といったお悩みはありませんか?
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まとめ
①年を重ねて体の機能が衰えると、喜怒哀楽のメリハリがなくなり、リハビリやレクリエーションをする意義がわからなくなるので、動くことに気力を失った人が多くなる。
②動かないと気持ちも沈んでいく。気持ちが沈むとさらに動かなくなり負の悪循環が生まれる。
③動くことに気力を失った人には、「快の刺激」を取り入れる。
すると身体が動き出す。
笑いも快刺激のひとつ。
④「笑いのツボ」とは、その人が「面白いと感じるところ」。「笑いのツボ」は、人の発達段階で全く違う。
⑤子供の笑いのツボ
にぎやかなものや、動きのあるもの、単純で分かりやすいもの、ワンフレーズや一発ギャグが印象的なもの。
⑥若者の笑いのツボ
人それぞれ独自の笑いのツボがあり、何が笑いのツボになるのかわからないので難しい。
⑦中高年・高齢者の笑いのツボ
中高年・高齢者は、笑いのツボがまとまってくる。歳を重ねるにつれて現れる「容姿や肉体の衰え」や人生への悲観をユーモラスに表現したものが人気。
⑧レクリエーション・体操に笑いの要素をいれてみる
・シルバー川柳を応用したレクリエーション
・体操の中にちょっとした冗談を入れてみる
・失敗することが楽しい体操を取り入れる
⑨みんなが失敗するからことそれが共感となり、笑いに繋がる。
老いることは哀しくもあり、でも「みんなも同じだよね」と思えることがうれしく、思わず笑ってしまう。
石田セレクションオモシロ川柳
ぜひシルバー川柳クイズにお役立てください!
出典(社団法人全国有料老人ホーム協会)
お辞儀して共によろけるクラス会 (東京都 82歳 女性)
「アーンして」むかしラブラブいま介護 (愛知県/63 歳/男性)
古希過ぎりゃ嫉妬もされぬ朝帰り (東京都 69歳 男性)
聞き取れず隣にならって空笑い (茨城県 70歳 男性)
注目を一身に受け餅食べる (千葉県 39歳 男性)
つまづいた ふと見た床に 段差なし (滋賀県/55 歳/女性)
動かないエレベーターや押し忘れ (埼玉県/77 歳/女性)
なぜ消える眼鏡と鍵のミステリー (新潟県/55 歳/女性)
脳のシワ顔に出てると孫が褒め (大阪府/66 歳/男性)
腹八分残した二分で薬飲む (群馬県/45 歳/男性)
味のある字とほめられた手の震え (新潟県/70 歳/女性)
さびしくて振り込め犯と長電話 (埼玉県/72 歳/男性)
若者と料金同じ理髪店 (福島県/52 歳/男性)
不満なら犬に言うなよオレに言え (東京都/71 歳/男性)
孫たちに アドレス聞かれ 番地言う (千葉県/26 歳/女性)
入れ歯抜け孫の茶碗へホールイン (富山県/102 歳/女性)
これ大事あれも大事とゴミの部屋 (東京都/67 歳/女性)
誕生日ローソク吹いて立ちくらみ (大阪府/63 歳/男性)
振り返り犬が気遣う散歩道 (北海道/44 歳/女性)
「いらっしゃい」孫を迎えて去る諭吉 (大阪府/63 歳/女性)
目には蚊を耳には蝉を飼っている (大阪府/67 歳/男性)
カード増え暗証番号裏に書き (兵庫県/59 歳/女性)
まだ生きるつもりで並ぶ宝くじ (東京都/36 歳/男性)
「お年です」それが病気か田舎医者 (千葉県/83 歳/男性)
ボランティアするもされるも高齢者 (神奈川県/49 歳/男性)
万歩計半分以上探しもの (大阪府/68 歳/男性)
中身より字の大きさで選ぶ本 (神奈川県/71 歳/男性)
少ないが満額払う散髪代 (東京都/66 歳/男性)
入場料顔見て即座に割り引かれ (東京都/71 歳/男性)
日帰りで行ってみたいな天国に (宮城県/71 歳/女性)
延命は不要と書いて医者通い (宮城県/70 歳/男性)
三時間待って病名「加齢です」 (新潟県/65 歳/女性)
目覚ましのベルはまだかと起きて待つ (神奈川県/71 歳/男性)
起きたけど寝るまでとくに用もなし (埼玉県/73 歳/男性)
年重ねもう喰べられぬ豆の数 (兵庫県/88 歳/女性)
改札を通れずよく見りゃ診察券 (千葉県/46 歳/女性)
女子会と言って出掛けるデイケアー (千葉県/74 歳/男性)
LED使い切るまで無い寿命 (京都府/78 歳/男性)
おじいちゃん冥土の土産はどこで買う? (島根県/43 歳/女性)
「先寝るぞ」「安らかにね」と返す妻 (埼玉 71 歳 女性)
欲しかった自由と時間持て余す (岩手県 77 歳 女性)
お迎えは何時でも良いが今日は嫌 (神奈川県 84 歳 女性)
お迎へと言うなよケアの送迎車 (福岡県 84 歳 男性)
本性が出ると言うからボケられぬ (神奈川県 53 歳 男性)
耳遠くオレオレ詐欺も困り果て (兵庫県 60 歳 男性)
どこで見る東京五輪天か地か (東京都 62 歳 男性)
同時期にシュウカツをする孫と爺 (愛知県 50 歳 男性)
マイナンバー ナンマイダーと聴き違え (山梨県 67 歳 男性)
壁ドンでズボンの履き換えやっとでき (福井県 69 歳 男性)
三度目は聞こえたふりの半笑い (大阪府 69 歳 男性)
老犬とこぼしたおかず奪い合い (熊本県 68 歳 女性)
「やめとくれ」ただの寝坊で脈とられ(男性 大阪府 49歳)
こんにちは思い出せずにさようなら(女性 大阪府 73歳 主婦)
化粧する昔話も化粧する (三重県 70 歳 男性)
次の世も一緒と言えば妻は NO (山口県 67 歳 男性)
昼寝して「夜眠れぬ」と医者に言い (大阪府 57 歳 男性)
苦虫を永年噛んで歯も抜けた (大阪府 53 歳 男性)
赤い糸夫居ぬ間にそっと切る (香川県 52 歳 女性)
耳遠くあの世のお呼び聴こえない (新潟県 81 歳 男性)
わたしの手ひっぱらないであの世から (福岡県 71 歳 女性)
忘れ物とりに戻れば又忘れ (富山県 70 歳 女性)
徘徊と噂されて散歩を止め (高知県 68 歳 男性)
体調の良い日は医者をはしごする (兵庫県 65 歳 男性)
おい!おまえ!いつしか妻の名を忘れ (宮城県 48 歳 女性)
眼鏡かけ眼鏡はどこだと妻に訊き (福岡県 86 歳 男性)
脳みそに移し変えたい顔のしわ (兵庫県 65 歳 男性)
年をとり美人薄命うそと知る (千葉県 59 歳 女性)
年賀状書かねばあの世とうわさされ (東京都 48 歳 女性)
飲め飲めと差し出されるのは薬だけ (愛知県 19 歳 女性)
つまずいた小石に歳を教えられ (岐阜県 69 歳 男性)
聞くたびに話が違う「若い頃」 (神奈川県 64 歳 男性)
補聴器を外し無敵の父となる (鳥取県 47 歳 男性)
いびきより静かな方が気にかかり (三重県 52 歳 女性)
忘れえぬ人はいるけど名を忘れ (愛知県 66 歳 男性)
この動悸昔は恋で今病 (埼玉県 63 歳 女性)
医者と妻急にやさしくなる不安 (山口県 72 歳 男性)
あちこちの骨が鳴るなり古希古希と (千葉県 71 歳 男性)
デパートで買い物よりも椅子探し
メモ帳のしまい場所にもメモが要る (埼玉県 65 歳 男性)
デザートは昔ケーキで今くすり (東京都 57 歳 女性)
その昔惚れた顔かと?目をこすり (北海道 76 歳 女性)
転んでは泣いてた子が言う「転ぶなよ」 (京都府 44 歳 女性)
一日は長くて一年矢の如し (大阪府 61 歳 女性)
無病では話題に困る老人会 (千葉県 74 歳 男性)
食べたこと忘れぬように持つ楊枝 (奈良県 54 歳 男性)
驚いた(惚)ホれると(惚)ボけるは同じ文字 (静岡県 82 歳 男性)
足腰を鍛えりゃ徘徊おそれられ (東京都 68 歳 男性)
混浴は足湯だったと友ぼやき (東京都 80 歳 男性)
補聴器をそっとはずして聞く小言 (兵庫県 59 歳 男性)
食事会薬でしめておひらきに (京都府 79 歳 男性)