こんにちは、作業療法士・介護エンターテイナーの石田竜生です。
「毎日の体操、ネタがマンネリ化してきた…」
「利用者さんが安全にできる体操を知りたい」
「でも椅子から立ち上がれない方もいるから、座ったままできるものがいい」
そんな介護現場の悩みに応えるべく、今回は作業療法士として長年現場に立ってきた経験から、「椅子に座ったまま・安全に・効果的にできる体操30選」を完全版としてまとめました。
どれも道具なし・椅子1脚あればOK。デイサービス・施設・ご家庭どこでも使えます!
この記事の目次
この記事の特徴

・作業療法士が現場目線で選んだ30の体操
・6つのカテゴリで全身をバランスよく動かせる
・各体操に「ねらい」「やり方」「ポイント」を明記
・椅子に座ったままOK、安全性が高い
・デイサービス・介護施設・ご家庭すべてで使える
体操を始める前に大切なこと
体操を始める前にスタッフが確認しておきたいこと
・体調に変化がないか声かけで確認する
・水分補給を促す
・椅子が安定しているか確認する(キャスター付きは避ける)
・無理をせず、痛みがあればすぐ中止する
「できる範囲で」「笑いながら」が一番
完璧にできなくて大丈夫。「できなかったら笑って次!」くらいの雰囲気が、結果的に長く続けられます。
スタッフも一緒に体を動かして、現場の空気を温めていきましょう。
第1章 肩・首まわりをほぐす体操(5選)

肩や首のこりは、頭痛や転倒の原因にもなります。最初のウォーミングアップとして5つの体操から始めましょう。
①首ゆっくり回し
ねらい
首まわりの血流促進・頭痛予防
やり方
背筋を伸ばして座り、首をゆっくり右へ半回転、左へ半回転。急がないことがポイントです。(各3回)
ポイント
めまいが起きやすい方は、回さずに「上下」「左右」の動きだけでもOKです。
②肩すくめストン
ねらい
肩こり解消・血行促進
やり方
両肩を耳に近づけるようにぐっとすくめて3秒キープ、ストンと落とす。(5回)
ポイント
力を抜いて「ストン」と落とす瞬間がリラックス効果を生みます。
③肩ぐるぐる回し
ねらい
肩関節の可動域維持
やり方
両肩を前から後ろへ大きくゆっくり回す。次に後ろから前へも。(各10回)
ポイント
大きく回すほど効果的。痛みがある場合は小さく始めて徐々に大きく。
④首まわりストレッチ
ねらい
首の柔軟性アップ・誤嚥予防
やり方
右手で頭の左側を軽く押さえて、右側にゆっくり倒して5秒キープ。左側も同様に。(各3回)
ポイント
強く引っ張らず、あくまで「気持ちいい」範囲で。
⑤後ろ見返り運動
ねらい
首・体幹の回旋・振り向き動作の維持
やり方
両手を膝に置いたまま、上半身をゆっくり右後ろに回す。左も同様に。(各3回)
ポイント
振り向く動作は生活場面(呼ばれたとき、車の乗り降りなど)に直結する大切な動きです。
第2章 腕・手指を動かす体操(5選)

手指を動かすことは脳の活性化に直結します。細かい動きと大きな動きを組み合わせましょう。
⑥グーパー体操
ねらい
手指の血流促進・脳の活性化
やり方
両手を前に出してグー→パーを交互に繰り返す。(20回)
ポイント
シンプルですが脳への刺激が大きい基本体操。毎日続けるほど効果的です。
⑦交互グーパー
ねらい
デュアルタスクによる認知症予防
やり方
右手がグーのとき左手はパー。交互に入れ替える。(10回)
ポイント
脳を混乱させる動きが重要。間違えたら笑って続けるのが成功のコツ。
⑧指折り数え
ねらい
指先の巧緻性アップ・前頭葉の活性化
やり方
親指から順番に折っていき「1・2・3・4・5」と声に出す。戻すときは小指から「6・7・8・9・10」。(往復3回)
ポイント
声に出すことで呼吸と動作が連動し、さらに効果がアップします。
⑨指先タッチ
ねらい
手指の協調性・認知症予防
やり方
親指から順番に人差し指・中指・薬指・小指とタッチしていく。両手同時に。(3往復)
ポイント
両手同時に行うのがポイント。左右バラバラになっても笑いに変えましょう。
⑩バンザイ体操
ねらい
肩関節可動域・体幹の伸び
やり方
両手を上に大きくバンザイして3秒キープ、ゆっくり下ろす。(5回)
ポイント
朝一番にやると体が目覚めて1日元気に過ごせます。
第3章 足・下肢を動かす体操(5選)

座ったままでも足を動かすことで、下肢の筋力維持・転倒予防につながります。
⑪座ったまま足踏み
ねらい
下肢筋力の維持・転倒予防
やり方
両足を交互に持ち上げて、ゆっくり足踏み。腕も自然に振る。(20回)
ポイント
大げさに足を上げるほど効果的。スタッフが「イチ・ニ・イチ・ニ」とリズムをとると盛り上がります。
⑫かかと上げ・つま先上げ
ねらい
ふくらはぎの筋力維持・むくみ予防
やり方
足を床につけた状態から、かかとだけ上げる・つま先だけ上げるを交互に。(各10回)
ポイント
「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎを動かして、全身の血流改善に。
⑬膝の伸ばし運動
ねらい
太もも前の筋力(大腿四頭筋)強化・立ち上がり力アップ
やり方
片足ずつゆっくり膝を伸ばして3秒キープ、ゆっくり下ろす。(左右各5回)
ポイント
立ち上がり・歩行の基本となる筋肉を鍛える大切な体操です。
⑭足首ぐるぐる
ねらい
足首の柔軟性・転倒予防
やり方
片足を少し浮かせて、足首を外回し・内回しにゆっくり回す。(各10回×左右)
ポイント
足首の柔軟性は転倒予防に直結します。歩行中のつまずきを防ぐ大切な動き。
⑮膝たたき
ねらい
手と足の協調性・体幹の安定
やり方
右手で右膝、左手で左膝をリズミカルにトントンと叩く。慣れてきたら「右手で左膝」など交差させる。(各10回)
ポイント
交差させると一気に難易度アップ。脳の活性化に効果的です。
第4章 体幹・バランスを整える体操(5選)
座ったままでも体幹を使うことで、姿勢が整い、転倒予防や誤嚥予防にもつながります。

⑯背筋伸ばしポーズ
ねらい
姿勢改善・呼吸機能の向上
やり方
椅子に深く腰掛け、頭を天井から引っ張られているイメージで背筋をまっすぐ伸ばす。3秒キープ。(5回)
ポイント
猫背は誤嚥や呼吸の浅さにつながります。意識的に背筋を伸ばす習慣を。
⑰体を左右に傾ける
ねらい
体幹の柔軟性・わき腹のストレッチ
やり方
片手を上に伸ばして体を横にゆっくり倒す。左右交互に。(各3回)
ポイント
倒すときに息をゆっくり吐くとさらに効果的です。
⑱おへそを見る運動
ねらい
腹筋の活性化・姿勢改善
やり方
背筋を伸ばした状態から、おへそをのぞき込むように体を軽く丸める。(5回)
ポイント
腹筋は寝たきり予防に非常に重要。座ったまま無理なく鍛えられます。
⑲体ひねり
ねらい
体幹の回旋・内臓の活性化
やり方
両手を胸の前で組んで、上半身を右・左にゆっくりひねる。(各5回)
ポイント
ゴルフのスイングのイメージで。ひねる動作は日常生活でもよく使います。
⑳片足バランス
ねらい
バランス感覚の維持・転倒予防
やり方
椅子に浅く座り、片足を床から少し浮かせて3秒キープ。左右交互に。(各3回)
ポイント
不安な方は手を椅子の座面につけて行いましょう。安全第一で。
第5章 口・顔まわりを動かす体操(5選)

口まわりの体操は誤嚥予防・発声・表情筋の活性化に直結します。食事前に特におすすめです。
㉑パタカラ体操
ねらい
嚥下機能の強化・誤嚥予防
やり方
「パ・タ・カ・ラ」を一音ずつ大きな声で10回発声。次に「パタカラ」と続けて10回。
ポイント
「パ」は唇、「タ」は舌先、「カ」は舌の奥、「ラ」は舌全体を使う大切な動きです。
㉒あいうえお体操
ねらい
口まわりの筋力・表情筋の活性化
やり方
「あ・い・う・え・お」と口を大きく動かしてゆっくり発声。(3回繰り返す)
ポイント
顔の筋肉をしっかり動かすことが大切。大げさなくらいでちょうどいいです。
㉓頬ふくらまし
ねらい
口のまわりの筋力・口腔内の血流促進
やり方
口を閉じて頬に空気をためてぷくっとふくらませる。3秒キープしてゆっくり吐く。(5回)
ポイント
左右交互に頬をふくらませる応用バージョンも効果的。
㉔舌の運動
ねらい
舌の筋力・嚥下機能の強化
やり方
舌を前にまっすぐ突き出して5秒キープ、引っ込める。次に上下・左右に舌を動かす。
ポイント
舌は飲み込みに最も重要な筋肉のひとつです。毎日続けることで誤嚥予防に。
㉕唾液腺マッサージ
ねらい
唾液分泌の促進・口腔内の乾燥予防
やり方
耳の下(耳下腺)・あごの下(顎下腺)・舌の下(舌下腺)を指で優しくマッサージ。(各10秒)
ポイント
食事前に行うと唾液が出て、飲み込みやすくなります。
第6章 呼吸・リラクゼーション体操(5選)

呼吸を整えることで、自律神経が整い、眠りの質もよくなります。締めくくりにおすすめです。
㉖深呼吸
ねらい
呼吸機能の向上・リラックス効果
やり方
鼻からゆっくり4秒かけて吸い、口から8秒かけてゆっくり吐く。(5回)
ポイント
吐く時間を吸う時間の2倍にすると副交感神経が優位になりリラックスします。
㉗口すぼめ呼吸
ねらい
呼吸筋の強化・肺機能の維持
やり方
鼻から息を吸い、ろうそくを吹き消すように口をすぼめて長く息を吐く。(5回)
ポイント
肺の中の空気をしっかり出すことで、次の吸気が深くなります。
㉘両手組んで背伸び
ねらい
胸郭のストレッチ・姿勢改善
やり方
両手を頭の上で組んで、ぐーっと上に伸ばしながら深呼吸。3秒キープしてゆっくり下ろす。(3回)
ポイント
胸を大きく広げると肺がしっかり膨らみ、呼吸が深くなります。
㉙両手こすり合わせ
ねらい
手のぬくもりでリラクゼーション
やり方
両手のひらをこすり合わせて温め、温かい手を顔・首・目の上にそっと当てる。(各10秒)
ポイント
手のぬくもりは心も温めます。体操の終わりに自分をねぎらう時間に。
㉚おつかれさまポーズ
ねらい
全身のリラックス・達成感の共有
やり方
両手をゆっくり膝の上に置き、目を閉じて「今日もおつかれさまでした」と声に出す。深呼吸3回。
ポイント
体操を終えた自分をほめる時間。スタッフと利用者さんが一緒に「おつかれさま!」と声をかけ合うと場が温かくなります。
30選を現場で活用するコツ
コツ1 全部を一度にやらない
30個全部を一度にやろうとすると疲れてしまいます。1日5〜10個をローテーションするのがおすすめです。
例えば月曜日は「肩・首」「腕・手指」、火曜日は「足・下肢」「体幹」、水曜日は「口・顔」「呼吸」というように。
コツ2 食事前には口まわりの体操
食事前に第5章の「口・顔まわりの体操」を行うと、飲み込みがスムーズになり誤嚥予防につながります。
パタカラ体操は特におすすめ。
コツ3 朝は全身を動かす、夕方はリラックス系
朝の体操は全身を目覚めさせる動きを中心に、夕方は呼吸・リラックス系で一日を締めくくると生活リズムが整います。
コツ4 スタッフも一緒に楽しむ
スタッフが笑顔で一緒に体操をすると、利用者さんも自然と楽しい雰囲気になります。
「私はこの体操が一番苦手で〜」など、スタッフが弱みを見せると場が和みます。
コツ5 できる範囲で、無理なく継続
完璧を求めないことが一番大切。
毎日少しずつでも続けることで、半年後・1年後の体の状態が大きく変わります。
まとめ
今回ご紹介した30の体操は、すべて椅子に座ったまま・道具なしで実践できます。
肩・首まわりをほぐす体操5選
腕・手指を動かす体操5選
足・下肢を動かす体操5選
体幹・バランスを整える体操5選
口・顔まわりを動かす体操5選
呼吸・リラクゼーション体操5選
この6カテゴリを組み合わせることで、全身をバランスよく動かせます。
大切なのは「完璧にやること」ではなく「毎日少しずつ続けること」。
スタッフと利用者さんが一緒に笑顔で体を動かす時間こそが、最高のリハビリになります。
ぜひ明日のレクから使ってみてください!