「今日のレク、お願いね」と言われた瞬間に、少し胃が重くなる。そういう職員は、どの施設にも必ずいます。
この記事は、その人のために書いています。盛り上げ上手になる方法ではありません。盛り上げなくても成立する形を集めました。
レクが苦手な人が困っているのは、じつは3つだけ
① 何を話せばいいか分からない(ネタがない)
② 盛り上がらなかったときが怖い(沈黙が怖い)
③ 準備の時間がない(勤務中に作れない)
この3つは、レクの内容を変えれば全部消えます。性格の問題ではありません。
選ぶ基準は「読み上げるだけで成立するか」
司会が上手な人は、その場で話を広げられます。でもそれは技術です。誰にでもは求められません。
だから、話を広げなくても成立する形を選びます。紙に書いてあることを読み上げるだけで15分が過ぎる——これが条件です。
苦手な人でも成立する形の4条件
① 答えが紙に書いてある……アドリブが要りません
② 全員が同時に参加できる……早い人が答えて終わり、にならない
③ 正解できなくても成立する……できない方が黙る形にしない
④ 準備がゼロ……道具も、切ったり貼ったりも、いらない
① そのまま読み上げるだけ:3択クイズ
いちばん確実です。問題と答えと解説が全部書いてあるので、読み上げるだけで進みます。迷ったらこれで大丈夫です。
ただし、ひとつだけ気をつけてください。答えが分かった人が先に言ってしまうと、そこで終わります。「せーの、で指で答えてください」と最初に決めておくと、全員が同時に参加できます。
② 沈黙が起きない:答えのない問いかけ
「いちばん心に残っているお風呂はどこですか」「昔の夏は、どうやって涼をとっていましたか」
こうした問いには正解がありません。だから、まちがえる人が出ません。知識を問う質問で沈黙が起きるのは、答えられない人がいるからです。
366日の記事では、最後の1問をこの形にしてあります。「答え:正解はありません」と書いてあるものがそれです。困ったらそこだけ使ってください。
③ しゃべらなくていい:声をそろえる・体を動かす
司会が苦手な人にいちばん向いているのが、この形です。全員が同じ動きをするので、話を広げる必要がありません。
「せーの」で声をそろえる、数を数える、手をたたく。声が出て、体が動いて、笑いが起きます。司会は号令をかけるだけです。
▶ 号令をかけるだけで成立する形
【366日分】座ったままできる高齢者の体操インデックス
【転倒予防】デュアルタスク(二重課題)レク10種類
④ 準備ゼロ:道具を使わない
道具を使うレクは見栄えがしますが、準備・片づけ・席の移動が必要で、そのぶん実際にやる回数が減ります。用意した人しかできない、という問題も起きます。
毎日続けるなら、道具のいらない形のほうが結局は多く実施されます。
⑤ 一時停止できるものを選ぶ
動画や記事を使うとき、途中で止めて声をかけられるかが分かれ目です。止められる形なら、司会は「進行役」ではなく「合いの手」でよくなります。
流しっぱなしにすると、参加していない方が出ても気づけません。止めて、名前を呼んで、また進める。それだけで場は変わります。

私は講演で全国の施設をまわってきましたが、「レクが得意な職員」がいる施設ほど、その人が休んだ日にレクが止まります。属人化しているのです。
うまい人に合わせて設計すると、その人しかできなくなる。いちばん苦手な人ができる形にしておけば、誰が担当しても回ります。これは能力の問題ではなく、設計の問題です。
もうひとつ。レクは介護報酬の加算になりません。だからこそ、時間も人手もかけられない。「準備ゼロで、苦手な人でも成立する」ことは、現場では最優先の条件です。見栄えは、その次でいいと思っています。

レクが苦手だと言う職員に、「もっと明るく」「笑顔で」とは言わないでください。それは解決になりません。
代わりに、読み上げるだけで成立するものを1つ渡してください。1回うまくいくと、次から自分で工夫しはじめます。順番が逆なのです。


