立てない方・言葉が出にくい方も参加できるレク|中重度の方への5つの工夫(作業療法士監修)

中重度の方も参加 できる力からつくる5つの工夫 レク・体操のコツ

車いすの方、寝たきりに近い方、言葉が出にくい方。
「あの方は参加できないから」と、輪の外に車いすを置いたままにしていませんか。

参加できないのは、多くの場合その方の能力ではなく、環境が合っていないからです。座る位置、机の高さ、道具までの距離。この3つを変えるだけで、できることは増えます。

まず、ここを直してください
車いすを輪の中に入れる……外に置いた時点で、その方は見学者になります
目が合う位置に置く……後ろからでは、司会の表情が見えません
机の高さを合わせる……高すぎると腕が上がらず、何もできなくなります
手の届く距離に置く……届かない位置の道具は、ない道具と同じです

「できること」は必ず残っています

手が動かなくても、目は動きます。声が出なくても、うなずけます。全部できないのではなく、できる部分が残っている——ここから組み立ててください。

残っている力から役割をつくる
目が動く……見る役、選ぶ役(2つ見せて「どちらですか」と目で選んでもらう)
手が少し動く……合図を出す役、鈴を鳴らす役
声が出る……号令をかける役、数を数える役
うなずける……○×で答える役、司会の相づち役
役割があれば、それは参加です。

① 目で参加する:2択で選んでもらう

3択が難しい方には、2つだけ見せて目で選んでもらいます。指をさせなくても、視線が動けば答えになります。
「こっちですか?」と一つずつ確認して、うなずいたほうを答えにしてください。

② 声だけで参加する:一緒に叫ぶ・数える

体が動かなくても、声は出せる方が多くいます。全員で「せーの」と声をそろえる形なら、動けない方も同時に主役になれます。
正解を当てる形だと、答えられない方が黙ります。全員が同じことを言う形には、その心配がありません。

③ 触れて参加する:五感を使う

言葉が出にくい方でも、においや手ざわりには反応します。みかんの皮、お茶の葉、乾いたタオル。手に持ってもらうだけで表情が動きます。
感想を言ってもらう必要はありません。表情が動いたことが参加です。

④ 体の一部だけ動かす

全身の体操ができなくても、足首だけ、指だけ、口だけなら動かせることがあります。
動かせる場所を一つ見つけて、そこだけを一緒にやってください。「全部できない」と「一つだけできる」は、まったく違います。

⑤ 同じ場にいてもらう

何もしていないように見えても、笑い声のする場所にいることと、居室で一人でいることは、まったく違います。
うとうとしていてもかまいません。同じ場にいる時間そのものに意味があります。

作業療法士から、ひとこと

作業療法では、「並行プレイ」という考え方があります。同じことを競うのではなく、同じ場で、それぞれのやり方で参加している状態です。
全員がまったく同じ動きをする必要はありません。手を上げる人、うなずく人、見ている人。それぞれの参加の形があってよいのです。
いちばん避けたいのは、正解できる人だけが主役になる形です。答えが1つのクイズは、早い1人が答えた瞬間に、ほかの方が受け身に転落します。「全員が同時に、正解のないことをする」——中重度の方がいる場では、これが最も強い形です。

スタッフの方へ

ご家族が面会に来たときに、輪の中にいる姿を見てもらえるかどうかは、思っている以上に大きなことです。
「何もできなくなった」ではなく「みんなと一緒にいた」。同じ日の記録でも、伝わり方がまったく変わります。
記録に残すときは、できなかったことではなく、その方が何で参加したかを書いてください。「目で選んだ」「うなずいた」「声を出した」。それが次の担当者への引き継ぎになります。

この記事を書いた人

介護エンターテイナー・作業療法士 石田竜生

石田 竜生いしだ たつき

介護エンターテイナー®/作業療法士/介護支援専門員(ケアマネジャー)
株式会社おふとん 代表取締役

リハビリの国家資格をもつ作業療法士として現場に立ちながら、大阪よしもとの養成所で学んだ技術を介護に持ちこみ、「笑って続く介護予防」を全国に届けています。
このサイトの記事は、実際に現場で使ってうまくいったものだけを書いています。

  • 全国での講演・研修 500回/体操教室 150回(のべ5万人)
  • 介護レク専門誌「月刊デイ」「レクリエ」2誌に連載
  • YouTube登録者 5.7万人/総再生1,500万回以上
  • NHK・日本経済新聞ほか メディア出演多数
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