道具を使うレクは見栄えがします。写真映えもします。
でも現場では、準備・配布・回収・片づけがある時点で、実施される回数が減ります。
この記事では、何も用意しなくても、その場で始められる形だけを集めました。思い立った5分後にできます。
道具を使わないことの、本当の利点
① 準備した人しかできない、が起きない……誰が担当しても同じようにできます
② 席を移動しなくていい……転倒の機会が減ります
③ 中断できる……途中でやめても、片づけが要りません
④ その場で始められる……「時間が空いた10分」に使えます
① 声だけ:数える・そろえる・叫ぶ
準備ゼロで、いちばん場が動く形です。「せーの」で数を数える、かけ声をそろえる。正解がないので、答えられない方が出ません。
声が出るということは、息が吐けているということ。飲み込みの練習にもなっています。
② 手だけ:にぎる・開く・折る
机も道具も要りません。にぎったら必ず開くまでをセットにしてください。開く力のほうが先に落ちます。
- 指を1本ずつ折って数える(1月といえば体操)
- 足の指でグー・パー(足の指の体操)
- グーとパーを入れかえる(頭をやわらかくする体操)
- 小豆をつまむ(小正月の体操)
- 足首を大きく回す(避難所でもできる体操)
- 手すりを握る(バス体操)
- 足首を大きく回す(機内体操)
- 包丁で切る(お料理体操)
③ 足だけ:足踏み・かかと上げ
座ったまま、足の裏を床につけたままできます。ふくらはぎは「第二の心臓」。長く座っている日ほど、ここを動かしてください。
- 少し息が上がるまで足踏み(体を動かす習慣づくり体操)
- ふくらはぎのポンプ運動(血のめぐり体操)
- 立ち上がりのくり返し(4年に一度体操)
- おじいさんが山へ芝刈りに……両手でのこぎりを使うように前後に動かす。(昔話なりきり体操)
- その場で足踏み(いちばんやさしい体操)
- ひざを打って受け止める(けん玉体操)
- 腕を大きく振って足踏み(おくのほそ道体操)
- 見回しながら足踏み(博物館めぐり体操)
④ 上半身だけ:伸ばす・ひねる
棚の物を取る、振り返る。生活のなかでいちばん先に減っていく動きです。
- 木づちを振り下ろす(鏡開き体操)
- 洗濯物を干す(洗濯物ほし体操)
- 荷物を持ち上げる(備え体操)
- 片足を上げて止める(名前書き体操)
- 羽ばたき(みつばち体操)
- 目を上下左右に動かす(数さがし体操)
- 棒を振る(棒サッカーの前の体操)
- 鼻から深く吸う(においの体操)
- 物見やぐらから見張る……首を左右にゆっくり向け、手で遠くを見るポーズ(お城探検体操)
- 水をあげる……片手をじょうろに見立てて左右にゆっくり振る。(春の花さかせ体操)
⑤ 口だけ:食事の前の1分
だ液腺のマッサージ、かむ動き、大きく口を開ける。食事の直前に入れるのが、いちばん効きます。時間を空けると元に戻ります。
- 大きな声を出す(火事だ!体操)
- かむ力の体操(ワンツースリー体操)
- 顔をさわる(顔さがし体操)
- よくかむ練習(野菜の体操)
- 顔をぐしゃぐしゃ・ぱっと開く(笑顔の準備体操)
- 口すぼめ呼吸(息を吐く体操)
⑥ 頭だけ:思い出す・数える
「花の名前を順番に」「祝日の名前を」。道具どころか、体も動かさずにできます。体調が悪い日、暑い日にも使えます。
▶ 体を動かしながら思い出す形(二重課題)
【転倒予防】デュアルタスク(二重課題)レク10種類|座ったまま・道具なし(作業療法士監修)

私は現場で、華やかな道具レクほど実需が少ないと感じてきました。準備が要る、席を移動する、片づけがある。どれも人手を使います。
そして道具レクは、用意した人しかできないという問題も生みます。その人が休んだ日、レクは止まります。
道具がいらない形は地味です。でも、毎日できるものだけが、体を変えます。週に1回の華やかなレクより、毎日の5分のほうが、半年後の差は大きくなります。
もうひとつ。道具がないと、職員は利用者さんの方を見ます。道具があると、道具を見ます。この違いは思っているより大きいと感じています。

道具レクをやめる必要はありません。「道具がなくてもできる形」を、いくつか手札に持っておくという話です。
送迎が遅れた10分、入浴の待ち時間、行事の合間。そういう時間に使えるものが3つあれば、1日の過ごし方が変わります。


